その他いろいろ
少子化問題なんて,担当大臣を置いたところで対処できるはずがないと思う。ピラミッドの形が戻るほど出生率を上げるためには,結婚を促進して子供を産むことがメリットになるような,物凄くドラスティックな政策を打ち出さないと無理だろうし,仮にそうしても生物学的な要因で出生率が下がっている部分もあるとしたら(たぶんあると思うのだが)出生率は上がらないだろうし,仮にいろいろやってピラミッドの形が戻るようなことになったら今度は人口爆発で日本は資源と食糧を手当てすることに苦労することになるはずで,とても一人の大臣が担当できるような問題ではない。逆に,赤川学氏も書いていたように,少子化が進行しても社会・経済・福祉が破綻しないようなシステム作りのための職だとしたら,これは財務省matterだろう。小野清子氏,南野知惠子氏,猪口邦子氏,高市早苗氏,上川陽子氏,中山恭子氏,小渕優子氏,福島瑞穂氏に続いて(ソースはWikipedia。このうち何人かは忘れていた),菅内閣では蓮舫氏が内定したという少子化対策担当大臣は,女性閣僚の指定席になっているが,それこそ無駄だから仕分けして無くしたらいいと思う。就任した上でもいいから,このポストは無意味だから廃止しますと言って廃止してくれたら,蓮舫氏に拍手するんだがなあ。

Minato Nakazawa / 中澤 港

まさにその通り。

加えてこれはガチなことなんだけれど、人口ピラミッドの下のほうのボリュームが出るほど出生率をあげることを目的にするには、女性の社会進出や就学を制度として止めないとまずムリだよね。だって、出生率をあげるためには、北米のハテライト教徒のように、女性の再生産過程を高める必要がある。それにはまず、初産を10代半ば過ぎに持ってくるように初婚年齢を低くしなければならない。そして、結婚から受胎までの待機期間を短くする施策が必要で、かつ出生後から次の出生までの待機期間を狭め、出生間隔を狭めないといけない。そうなると、女性が高校以上の教育を受ける機会や、会社や役所に務める機会が少なくなるし、たとえ勤めをしていても毎年ごとに産休とることになるし、男性のほうも遅くまで残業していると性交回数が減り受胎可能性が低くなるから、残業禁止とならざるえないけれどさ、そんなので大丈夫なの?社会として。

少子化はもうしょうがないんだよ。こういう高度で豊かな資本主義社会の帰結として。それを前提に社会の制度を設計する必要があるんだよ。これは努力してどうこういう問題じゃない。出生力の低下は、経済的発展と社会制度の帰結として、女性の出生間隔が伸びたことや晩婚・非婚化が進んだことが原因であり、それにもしかしたら生物学的な要因もあるかもしれない。そして、そのことにより女性が学問を修習できるようになったり、社会進出ができたりと、多様な人生を歩むことができるようになったという点でプラスの面が多いのだ。

上記の意味で中澤さんが指摘するように、社会ありようから帰結される数学的に不可能なものについては、もうどうしようもない現実として認めなければならない。人口学の再生産方程式で示されている明らかな事実である。まあ、学問的には人口モデルとしていろいろ問題もあって、さらにそれを解消し精緻化するために非線形性を導入するなどのモデルの高度化をしているようだけれど、基本的には片方でなかなか産まなくなってそして片方でなかなか死ななくなったわけだから、当たり前のことである。

だから、もう少子化対策大臣が待機児童解消を目指すとしても、それは少子化解消という点では数字として矛盾している意味のない行為だ。ちなみに待機児童解消については、少子化解消の視点からではなく、単純に女性の社会進出の点で必要であり、それを少子化云々というウソで誤魔化すべきでない。

というわけで、こういう論理的に矛盾している、原理的に無駄かつ無意味極まりない少子化担当大臣なるポストは、早々に仕分けして欲しいですな。レンホー議員においてはまさか、人様の大量のムダを指摘をしておいて、お手前のムダを指摘できないなんざねえよな?

経済や社会の活力という点でそれより問題なのは、少子化より高齢化のほうで、これについてはまたあらためて。

(via kashino)